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  1. 直売所の達人
  2. 珍しい国立野菜も扱うバイヤー渋谷さんが目指す「秩序あるカオスを演出する直売所」とは(東京・国立)


「僕は品種マニアで、種苗(しゅびょう)会社が毎年出している品種カタログは結構熟読しています。最近「攻めてる~」と感じるのはナント種苗さんですね。薄皮ミニトマトのピンキーとか、気になりますね~」
※奈良県に本社を置く種苗メーカー


のっけから熱く語る彼は農家でもなければ家庭菜園愛好家でもない。直売所バイヤーの渋谷祐輔(ゆうすけ)さんだ。東京・国立市にある農産物流通ベンチャー「株式会社エマリコくにたち」の副社長でもある。

エマリコくにたちは農産物直売所を3店舗、飲食店を2店舗運営し、その食材のほぼすべては地場農産物で賄われている。エマリコ国立では1日2回、地場農家を集荷に回る。1日に回る農家の数は30を超えることもある。これほどまでに地域の農家と密接に繋がっている流通もなかなかないだろう。


地域の農家を毎日のように渋谷さんは直売所をどうみているのか?
奥深い「農産物直売所」を読み解くヒントをそんな達人たちに問いかける連載企画、「直売所の達人」!

記念すべき第1回目となる今回は、地場野菜バイヤー渋谷祐輔さんにお話を伺った。



----日々直売所とはどう関わっていますか?


僕は徳島県出身なんですが、先日地元に帰ったときに小さな直売所で「子持ち高菜」を見たんですよ。そういう珍しいものを見つけると気持ちが高まりますね。
※祝蕾(しゅくらい)とも呼ばれるアブラナ科の高菜の1種


職業柄、農産物直売所を目にしたらひとまず1通り見て何かしら買います。見るだけではなく買うっていうところまでやってみてはじめて直売所を体験できる気がします。もちろん買った以上は調理して食べているんですが、バイヤーをやっていながら思うのは「味は見た目ではわからない」っていう当たり前のことですね。明らかにダメな野菜はわかるんですが、それなりの見た目以上になるともはや食べてみないとわからない。さらに言うと同じ生産者の同じ野菜でもひとつひとつ味が違うかもしれないし、季節や天候によっても味は変わるでしょう。

じっくり見ますけど最後はやっぱり食べないとだめですね。


「鮮度には価値がある。それは減価していくものでお客様に知っていただきたい」



----なぜこのお仕事を?


大学ではまちづくりのサークルに入って活動していました。そのときに弊社代表の菱沼勇介と出会って、お互い一度は就職したんですが、大学があって馴染みのある国立市に戻って起業しました。

元々農産物の流通に関わる仕事をやりたかったというよりは「社会的に意義のあることを経営の力で持続可能な事業にする」ということに関心があって、そのなかで「都市農業」にスポットを当てたという感じです。


----「都市農業」にスポットを当てたということはどういった狙いがあったんでしょうか


サークル時代に飲食店を立ち上げたんですがその関係で東京の国立みたいな地方から見たら大都会にも農業が残っていることを知ったんですね。しかも知れば知るほどいろいろ面白いことが出てくる。

青果というのは元々個性的なうえに日々刻々と状態が変わっていくので非常に扱いづらいものですが、だからこそ街のすぐ近くにある畑の農産物を運んで良い瞬間をとらえてお客様に提供することができれば十分強みがあると思いました。
わたしたちが運営する直売所「しゅんかしゅんか」も「旬は瞬間」という意味があります。

ですからうち(しゅんかしゅんか)は集荷してから1日経つと値下げするんです。鮮度に価値があってそれはどんどん減価していくということをお客様に知っていただくということにも繋がります。



---渋谷さんが思う直売所の魅力って何ですか?


直売所っていうのは基本的には農家自らが運んで自分で値段を決めるところだと思います。だからプライドの高い農家ほど安売りはしない。そういうプロ意識に触れると素直に感動します。
そういう意味でいうと私たちは農家から買い取って価格を私たちで決めているので直売所というよりも八百屋なのかもしれませんけど(笑)。
ただ、私たちは農家の軒先直売所といい補完関係にあると思っていて、農家の直売所はいい意味でも悪い意味でも「わがまま」ですから。その分うちは便利に駅前でやっているわけです。農家の宣伝も積極的にしていますし。
あと、直売所でグッとくるのが季節外れの品と出会った時です。こっちは流通のプロなので当然地域の旬の時期は頭に入っているわけですが、それでもこの間、5月にニンジンを出している地元の直売所があってびっくりしました。あとは秋のズッキーニとか。
そういう品目を私たちも扱いたいですね。今狙っているのが早春のスナップエンドウです。農家と話し合ってそういうことにトライするのは楽しいです。
※通常の春夏にんじんは早くても6月中旬以降


---今までで感動した直売所はありますか?


長野県伊那市にある「伊奈グリーンファーム」さんですね!ここは有名直売所ですが、何が凄いってとにかくカオスなんですね。直売所界のドン・キホーテと言えるかもしれません。おそらく農家が持ってきて自分で値付けするというところの自由度が高いのだと思います。出品の敷居をさげることで多様な品目を揃えて魅力を出していると思います。
私自身もカオスが好きでお客さんが知らないもの、意外なものを売っていきたいと思っています。
ただ、あんまりそれをやると店長が嫌がるんですね。珍しいものは数売れないですから。


----なるほど(笑)渋谷さんら(運営する直売所)も珍しい野菜を扱っているんですか?


成功例でいえば定着してきたのがコリンキーカボチャ白ナスゼブラナスなどですね。変わりナスは1個158~189円と普通のナス1本に比べたら3倍ほどの値を付けますが売れます。
失敗したのがケールビーツ。3年前から取り組んだんですが、あまり動かなかった(売れなかった)、最近なんか世間的にはどちらも注目されてますけどね。
あと大失敗だったのがカブトムシを開店したての頃売っていたんですが、エアコンの乾燥と冷気で死んじゃったりしてかわいそうなことをしました。


---カブトムシも販売していたんですね!


それから最近意外に売れているのが「土」ですね。プランター用ですけど、こだわりの土を売っています。
春先は苗やタネも合わせて売れますね。直売所は売れれば何でも売っていいところだと思います。
お客様に「あそこに行けば何かある」というスーパーとは違った期待感を持ってもらうところが重要だと思っています。


「秩序あるカオスを演出する直売所でありたい」



---これからどんな直売所を目指していきますか?


カルディコーヒーとかデアゴスティーニってカオス感がありますが、秩序もある感じでいいなと思います。私たちも秩序あるカオスを演出する直売所でありたいなと思っています。
だから野菜の新品種のチェックは欠かせません。どこにどんな宝の元が隠れているかわかりませんからね。

 ※全国44都道府県にコーヒー豆を中心とした小売店舗を展開するカルディコーヒーファーム。コーヒー豆の販売以外にも店内には所狭しと輸入食品やオリジナル雑貨が多く陳列され1度来店するとやみつきになるファンが多い。来店時に提供される季節に応じたコーヒーサービスもリピーター獲得に一役買っている。
 ※テレビCMでおなじみのパートワーク(分冊百科)で学べる出版社。毎号付いてくる付録を集めると完成する特典が有名。歴史物や名作DVDコレクション、果ては二足歩行が可能なロボットや3Dプリンタまでと、そのジャンルは幅広い。長期刊行されたシリーズの特典を全て集め終えたファンをインタビューしたメディアが話題になるのもお馴染み。



あとがき


インタビュー中に、大量の野菜が積まれたワゴン車が到着した。渋谷さんは手早く野菜を下ろしを手伝いながら今日の品をチェックし集荷メンバーと農家のプライベートな状況も含めて情報交換、これからの仕入れについての情報収集に余念がなかった。
農家一軒一軒とやり取りし、仕入れや生産の委託などのやり取りをするのは体力勝負なところが大きい。一つ一つの取引額は小さく、しかしそれを細やかに取りまとめていくことで他の直売所とは違った生産者と消費者のニーズをグッと近づけた売り場が完成する。
毎日の売り場をどう演出するのか、まさに野菜というキャストを集める舞台プロデューサーといえるだろう。



直売所の達人

渋谷祐輔(しぶや ゆうすけ)

徳島県出身。徳島北高校、一橋大商学部卒。

機械加工製品などを扱う商社で5年勤務した後、2011年4月に東京・多摩地域の農家から生鮮野菜を集荷し、地元住民に販売するベンチャー企業「エマリコくにたち」を設立。取締役副社長として直営店舗での小売事業を統括している。

東京都国分寺市在住


運営店舗

▼くにたち野菜「しゅんかしゅんか」

国立駅前徒歩5分。
くにたち野菜と多摩食材が人気の第1号店

東京都国立市中1-1-1 [ACCESS MAP]
TEL:042-505-7315
OPEN:10:00~19:00
定休日:無し(お盆・お正月除く)

くにたち野菜 しゅんかしゅんか HP

くにたち野菜 しゅんかしゅんか Facebook


▼にしこくマルシェ「しゅんかしゅんか」

色とりどりの新鮮野菜や果実が並ぶ、マルシェ風エキナカ店舗

JR西国分寺駅 nonowa西国分寺内・改札出てすぐ
[ACCESS MAP]
TEL:042-505-7315
OPEN:10:30~20:00
定休日:無し(お正月除く)

にしこくマルシェ しゅんかしゅんか HP

にしこくマルシェ しゅんかしゅんか Facebook


▼地元農家のとれたて野菜「のーかる」

立川野菜を豊富に品揃え
(株)まちづくり立川様との共同運営店舗。

東京都立川市柴崎町3丁目14-3 [ACCESS MAP]
TEL:042-512-5415
OPEN:11:00~19:00
定休日:無し(お盆・お正月除く)

のーかる Facebook


30農家のくにたち野菜タパス「くにたち村酒場」

くにたち野菜とワインのカジュアルなバル

国立市中1-9-30 国立せきやビル地下1階 [ACCESS MAP]
TEL:042-505-6736(18:00~21:00は繋がりにくくなる場合がございます。予めご了承ください)
OPEN:17:30~23:00(L.O. 22:15)
定休日:第一火曜日

くにたち村酒場 HP

くにたち村酒場 Facebook




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