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  1. これは使える!直売アイテム
  2. 野菜が美しい作品になる ~こくベジのじかん 野菜棚~

文・写真 南部良太(農業デザイナー)


「ギャラリーでこの野菜棚を使って展示してみない?」


“こくベジのじかん”のために制作したオリジナルの野菜棚が、まさかギャラリーに並ぶなんて制作に携わった私(南部)自身が当初は想像もしていませんでした。


「こくベジのじかん」とは、東京・国分寺市が主体になり、地方創生の一環として国分寺野菜のブランド化を目指す“こくベジ”プロジェクトにおける一大イベント、マルシェのことです。


※南部がデザインしたフライヤー


野菜が中心のマルシェって最近流行りだけど、その新しい見せ方、こくベジ(国分寺の野菜)ならではの伝え方はできないだろうかと、プロジェクトメンバーや会場構成、野菜棚の設計をお願いした建築家の印牧洋介(かねまき ようすけ)さんとは議論を重ねてきました。

その結果、来ていただいた方にゆっくりと過ごしてもらえるような空間、演出をして、滞在型のマルシェを目指そうということになりました。“じかん”だけに会場全体は時計を思わせる円形に。そして中心には、円形に組んだ野菜棚。会場のどこから見ても、野菜棚が目にでき、まさにこくベジが中心のマルシェになります。すげーーーいいマルシェができそうじゃん!と思ったら、ここから難題に。。。


野菜棚を円形に組む分だけ棚の数が多くなるため、収納の際に場所をとる可能性がありました。そして「こくベジのじかん」だけでなく、国分寺産直会が普段から参加しているマルシェでも使えるもの。この2つが大きな課題として上がりました。


まず、収納については、野菜棚を特大、大、中、小と4つ1セットにして、スタッキングできるような設計を印牧さんが考えてくれました。そうすることで、全部で40個ある野菜棚を、1畳分くらいのスペースに収められます。ただ、1セットが激おも。。。約15キロちょっとはあります。これが耐久性や安定性を考慮すると必要最小限の重さなのです。


※収納する際はコンパクトに。サイズは1セットW800mm×H300mm


そして国分寺産直会が普段から参加しているマルシェにも使えるように設置が簡単であること、「これを使えばこくベジが売れる!」と農家さんに思ってもらえるようデザイン性も重視しました。

こくベジが売れるという点においては、僕は自信がありました。誰も見たことのないもの、そして野菜を買いに来ていない人でも思わず手に取れるような、野菜のディスプレイができると設計段階でイメージできたからです。そして、もちろん農家さんたちも喜んでもらえるだろうなーと。


いよいよ3月下旬の開催日。

なのに、その日だけピンポイントの大雨。どーーーん。


さらに、この完成した野菜棚を見た、国分寺産直会会長の鈴木雅之さんから

「この野菜棚、重すぎて使えないよ。」と。どーーーん。


農家さんたちにこの野菜棚を喜んでもらえると勝手に想像してたので、かなりショックを受けました。。。


延期は約2ヶ月後の6月4日。


そして野菜棚の課題や、そもそも来てくれる人がいるの?こくベジが売れ残ったら誰が責任取るの?などなど。いろんな不安要素が浮き上がり、当初はこくベジが売れることに自信があった僕ですが、完全に自信がなくなっていました。プレッシャーを感じまくり、正直、こくベジのじかんやりたくなかったです。逃げたかったです。


とまあ、あれよあれよという間に、6月の開催日に。


ど晴天。


※組み立てた時の高さは約140cm。野菜が見やすく、手に取りやすいサイズを意識。また高さのある野菜でも立てかけれるよう上から見るとの字型に板をカットしてある。


国分寺産直会には普段たくさん売れたときの量を想定して、野菜を用意してもらいました。これで人も来なくて、こくベジが売れなかったら、完全に農家さんに信頼してもらえなくなるなーという気持ちでいました。


そして、朝いちから、こくベジを野菜棚に陳列。本当に感動しました。こんな野菜の光景見たことなかったから。こくベジの野菜たちがここに並ぶためにあるような。美しい作品がそこに出来上がりました。そして、円形にすることで、来た人が円形に沿って、1歩歩くたび視界が変わるその仕組みがとても新鮮でおもしろかったのです。



開始から1時間。農家さんもいつもより少し売れるかなーと。そして2時間。すごく売れてる!3時間後には用意した野菜(追加分も含めて)ほぼ完売になりました。売り上げは当初予定していた2倍。4時間だけのこくベジのじかんは、全体としても各飲食店の食べ物が、完売するという大盛況のうちに終えることができました。



国分寺産直会が参加しているマルシェにも「この野菜棚を使いたい」と、国分寺産直会会長の鈴木さんからいっていただきました。本当にうれしかったです。デザインの力、そして新しい切り口が人の心を動かすのだと感じました。


そして冒頭で触れたこの棚を使いたいというギャラリーとは丘の上APT/兒嶋画廊のこと。オーナーである兒嶋俊郎さんはこくベジのじかんにも足を運んで野菜棚を直接見て、8月に行われる展示会の話を持ちかけてくださいました。


ただ、もちろん課題もたくさんあります。野菜棚の設置の手間、そして野菜の鮮度を奪う日差しよけ。あらかじめ日よけのパラソルも用意していたのですが、それだけでは足りず、新たな課題として残りました。また、見せることだけではなく、農家さんの想いを伝えるツールの重要性も感じました。


やれなかったこと、やらないといけないこと、まだまだたくさんありますが、みんなで課題に向き合い乗り越えることの重要性。そして、周りの方の想いや協力があったからこそ、たくさんの方に喜んでもらえた、こくベジのじかんを行うことができました。


これからも農家さんたちに寄り添いながら、少しずつ解決していきたいと思います。そして共にこくベジを広め、深める喜びを味わいたいです。


”こくベジ”野菜棚の設計者

印牧 洋介(かねまき ようすけ)

2007年早稲田大学大学院終了

2008年 RENZO PIANO BUILDING WORKSHOP  

 FONDAZIONE RENZO PIANO 奨学生研修

2009 安藤忠雄建築研究所勤務

2012 坂茂建築設計勤務

2015 印牧洋介設計設立

印牧 洋介 公式サイト


写真と文


 

南部良太/農業デザイナー

1984年生まれ。国分寺市在住。広告制作会社でグラフィックデザイナーとして勤務し、独立。子どもが生まれ国分寺に住みはじめ、周りに畑が多いことから農に興味を持つ。都市農業の可能性を探り、農家さんのロゴマークやパッケージなどのデザインをしている。また、こくベジプロジェクトのディレクション、デザイン、企画、配達を担当。人とのつながり、そしてそこから生まれてくるものを大切にしながら活動している。

連絡先:nambu_ryota@yahoo.co.jp


こくべじ 公式サイト

こくベジのじかん イベントページ(Facebook)




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